写真の森口ミツルです

赤獅子 赤松裕一

本日、大槻能楽堂で観世流シテ方の大槻文藏先生の『大槻文藏の会』が開催された。
今年で１７回目を迎えるこの会は、毎回豪華な顔ぶれが出演している。
今回は、観世流宗家の観世清和先生がゲストで『石橋』の親獅子を演じた。
そして同じくシテの子獅子を赤松裕一くんが初挑戦。

赤松裕一くんは、ブログにもたびたび登場してもらっているように、２歳８ヶ月から子方として活躍。現在では、子方を卒業して能楽師の修業を積んでいる。

能面が付けられるのが、あと数年と言うことで今回は覆面姿だった。
舞台では白の親獅子役の観世清和先生と、赤の子獅子役の赤松裕一くんの息もピッタリで、勇壮な獅子が舞台を舞つた。

赤松裕一くんは、観世流宗家との共演の大役を見事演じきった。

大槻文藏先生は、藁ぶき屋根の珍しい作り物の演出で『邯鄲』を披露された。



『石橋』子獅子/赤松裕一
1日午後5時38分、大槻能楽堂で（写真はモザイク加工しています）

なつやすみおやこきょうしつ

本日の大槻能楽堂自主公演能は『なつやすみおやこきょうしつ』が開催された。
午前１０時の開演には、親に連れられた子どもたちで場内が一杯。

第一部の楽器や能面の体験コーナーでは、実際に小鼓や笛などのお囃子に挑戦。
舞台では、能面を付けてすり足で能の歩き方を体験した。

第二部は、狂言と能「『土蜘蛛』を鑑賞。



能面を付けてすり足で歩くこどもたち
３日午前１０時５８分　大槻能楽堂で

観世清和 二十六世観世宗家

大槻能楽堂自主公演能で本年の「能の魅力を探るシリーズ」は、昨年につづき『平家物語』である。
平家物語を観る「戦いのあわれ！」を語る、全２４回で昨日が１６回目の公演であった。

一昨日に大暑を迎え、１年で最も暑いとされる中にも、会場は補助席が出る程の超満員であった。
そんな中上演されたのは、『屋島（大事・那須与一語）』で、シテは二十六世観世宗家の観世清和。
二十六世宗家は、国内公演はもとより海外公演や新作能にも意欲的に取り組んでいる。
また、最近では映画　手塚治虫の『ブッダ』（５月２８日全国ロードショー）に声優としても出演され話題を呼んだ。

アイ狂言の「那須与一語」は、関西ではお目にかかる機会のなかった三宅右近である。
２時間近い上演に、宗家の魅力をたっぷりと味わうことが出来た。
（敬称略）



『屋島』観世清和　２４日午後４時２４分　大槻能楽堂で
（写真はぼかし加工しています）

ろうそく能

大槻能楽堂の夏の風物詩になっている『ろうそく能』が、梅雨明けした８日の夜、開催された。
午後６時５５分、場内の照明が消され、能舞台の周りに設置された１４本の蝋燭に火が灯された。
蝋燭だけの照明の中で梅若玄祥先生による『藤戸』が上演された。
普段とは違ったよりいっそう幻想的な雰囲気に、８００年前にタイムスリップした思いで舞台を鑑賞。

思わぬ節電の公演となった。

この『ろうそく能』は、９月２日にあと一回開催される。
詳しくは大槻能楽堂HP




ろうそく能『藤戸』シテ/梅若玄祥、８日午後８時４３分大槻能楽堂で

７月ですよ

暦が替わりました。


もう半年・・・
まだ半年・・・


どっちだろう。。。



国立文楽劇場卓上カレンダー　７月
「夏祭浪花鏡」
写真左より　団七=桐竹勘十郎・徳兵衛=吉田玉也
撮影=森口ミツル




大槻能楽堂カレンダー　７・８月
「楊貴妃」シテ=大槻文藏
撮影=森口ミツル

大阪観世会定期能

大阪には能楽堂が数カ所あるが、大阪市北区中崎にある『大阪能楽会館』は、大槻能楽堂に次いで大きな能楽堂である。

今日は、大阪観世会の定期能がこの大阪能楽会館で開催された。
能が二番あり、観世流宗家観世清和師による『井筒』と、
大槻文藏師の『野守』が上演された。



『野守』-白頭-シテ/大槻文藏 １１日午後５時５０分、大阪能楽会館で

大槻同門会能

『大槻同門会能』が午後12時30分から、大槻能楽堂で開催された。
この公演は年間4回開催され、今回が平成23年度の第1回目である。
各回、能が二〜三番と、仕舞や舞囃子が上演される。
今日は、三番の能と仕舞、狂言が上演された。

能は
『善知鳥』シテ/泉　雅一郎
『水無月祓』シテ/近藤　幸枝
『葵上』シテ/齊藤　信輔
（敬称略、上演順）


『葵上』シテ/齊藤信輔
　 １０日午後４時１４分、大槻能楽堂で

鎮魂（たましずめ）の祈り

大槻能楽堂の自主公演能が、東日本大震災後初めてきょう開催された。
能『忠度』のシテは、東京からお越しの浅見真州先生。
鎮魂（たましずめ）の心を持って演じられたそうだ。

能の上演が終了してから、大槻文藏先生らの『砧』の謡が能楽堂にきょうも響き、
会場に残られたお客さんと共に、東日本大震災で亡くなられた方へのご冥福を祈った。



２６日、午後４時１６分　大槻能楽堂で E-P2

東日本大震災への鎮魂歌

３月１１日の東日本大震災から、私の周りにおける舞台公演が全て中止になっていたが、本日から再開された。
舞台は能の公演であった。
公演が終わってから、能舞台に能楽師の先生方が整列して、
東日本大震災で亡くなられた方への哀悼の意を表して『砧』の一節が謡われた。



法華讀誦の力にて 法華讀誦の力にて 幽霊正に成佛の 道明らかになりにけり これも思へば假初に 檮ちし砧の聲の中 開くる法乃花心 菩提の種となりにけり 菩提の種となりにけり
この度の地震・津波による被害を受けられた皆様に、
心よりお見舞い申し上げます。
また、一日も早い復興をお祈りいたします。

撮影開始は『翁』から

毎年、撮影の開始は能舞台の『翁』から始まる。
舞台の張り詰めた空気の中、翁が「とうとうたらりたらりら。たらりあがりらゝりとう」と、ツレの千歳とやりとりしながら舞い始める。

今年も撮り始めは、３日・４日の大槻能楽堂の自主公演能からであった。
きょうが二日目で、昨日同様に最初はこの『翁』からである。

面箱持・翁が登場。その後、千歳・三番三・囃子方・シテ方後見・狂言方後見などが登場する。
そして、翁の礼が終わるまで、橋掛かりに整列する。
この間は、客席への出入りも出来なくなり、舞台と客席全体が荘厳さと緊張感で身が引き締まる。

「とうとうたらりたらりら」と神を呼ぶ呪文を唱え、面をつけて人から神となって舞う。
そして、舞い終わった後に面を外して、神から人に戻る。

この何とも言えない不思議な儀式である『翁』は、これから始まる一年に、大きな勇気を与えてくれる。