一年のトリ、師走の文楽カレンダーは、『艶容女舞衣 はですがたおんなまいぎぬ(酒屋の段)』のお園=吉田簑助師匠(人間国宝)。
通称・酒屋は「今ごろ半七つぁん、どこにどうしてござろうぞ」のクドキでおなじみの文楽である。
茜屋の半七は美濃屋の三勝と深い仲になり、女児までもうけていた。半七の女房、お園は、実家に引き取られていたが、日夜泣き沈んでいるので父親、宗岸は病気になってはと思い、娘を茜屋へ連れて行く。姑は喜ぶが、舅の半兵衛は、息子は勘当したので嫁はいらないと断る。宗岸は半兵衛が半七の身代わりに縛り上げられていると見抜く。
半兵衛は、友人に欺かれて人を殺した半七の命を助けるため身代わりになったのだ。親たちが一間で、語るうち一人お園は、帰らぬ夫を慕うのである。
「今ごろ半七つぁん、どこにどうしてござろうぞ」
文楽12月 師走カレンダー
艶容女舞衣(酒屋の段)お園=吉田簑助 写真=森口ミツル
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