大槻能楽堂の自主公演能で、午後6時30分開演のナイトシアターが年間に数回開催される。仕事の帰りにでも立ち寄って観られることで、時間のとれない社会人にも人気がある。
昨夜は、今年初めてのナイトシアターであった。
夏至前で開演時間でも外はまだまだ明るく、ナイトシアターという雰囲気ではなかった。だが、一日の仕事を目一杯すませて観るので、何か時間を得した気分になれた。
昨夜の出し物は、大槻文藏先生のシテで『仲光 愁傷之舞』だった。
我が子を自らの手で殺め、主君の子供の身代わりとする仲光の男の哀れさを、面を付けない直面(ひためん)で演じた。
「愁傷之舞」で、橋懸りで見せた仲光の心情が、痛いほど伝わってきた。
ラストシーンで、泣き崩れて座り込む姿に涙したのは私だけだろうか。
『仲光』ラストシーン シテ/大槻文藏
11日、午後8時56分 大槻能楽堂で
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