毎年、撮影の開始は能舞台の『翁』から始まる。
舞台の張り詰めた空気の中、翁が「とうとうたらりたらりら。たらりあがりらゝりとう」と、ツレの千歳とやりとりしながら舞い始める。
今年も撮り始めは、3日・4日の大槻能楽堂の自主公演能からであった。
きょうが二日目で、昨日同様に最初はこの『翁』からである。
面箱持・翁が登場。その後、千歳・三番三・囃子方・シテ方後見・狂言方後見などが登場する。
そして、翁の礼が終わるまで、橋掛かりに整列する。
この間は、客席への出入りも出来なくなり、舞台と客席全体が荘厳さと緊張感で身が引き締まる。
「とうとうたらりたらりら」と神を呼ぶ呪文を唱え、面をつけて人から神となって舞う。
そして、舞い終わった後に面を外して、神から人に戻る。
この何とも言えない不思議な儀式である『翁』は、これから始まる一年に、大きな勇気を与えてくれる。
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