仕事の60%が舞台の撮影である。
撮影は舞台稽古の時や、お客さんが入っている本番の時もある。
その舞台撮影で一番気を使うことは、写真の仕上がりは勿論のことだが、
それよりも撮影の時に出るカメラのシャッター音である。
お客さんが入っている本番撮影の時は、自家製の消音カバーをカメラに巻き付ける。それも二重にもである。
カメラの操作が非常に悪くなるに比べ、音が全て無くなる訳ではないので苦労する。
最近、舞台撮影で、ミラーレスマイクロ一眼カメラを使い始めた。
デジタル一眼レフカメラから光学式ファインダーに関する構造を除いたもので、電子ビューファインダーを使う。なので、ミラー音が無い分シャッター音が静かである。舞台撮影するのには、もってこいのカメラである。
オリンパスのE-P2やパナソニックのGH-2等のマイクロフォーサーズ機である。
デジタル一眼レフカメラから比べたら、画素数や操作性等全ての面で劣る。
それでもマイクロ一眼カメラを使おうとする訳は、仕上がった写真に暖かみを感じたからである。
当初は、消音だけとしか考えていなかったのに、撮影の楽しみまでを教えてくれる程のカメラであった。
仕上がりの暖かみとは、2100万画素のデジタル一眼レフカメラでは撮れない、頼りない描写かも知れない。
1万画素が1万円した時代から比べれば、今では信じられない程の画素数のカメラを手に出来る時代になったのに、そうなればそうなれで「写り過ぎ」と文句さえ出る贅沢さである。
アナログに戻りたいとさえ思えてくるのだが、娯楽のテレビも2011年にはアナログテレビ放送から全てデジタルテレビに移行される。
我々の目は、このギスギスとした映像にますます慣らされていくことになる。
仕事の上ではアナログには戻ることは絶対に無いが、どこかにアナログの暖かさを残しておきたい。
よく写る写真に慣らされて、それが綺麗だと思われてしまうのは悲しい。
マイクロ一眼カメラで撮った写真は、確かに綺麗だとは言い難いが、それでも私はあえてマイクロ一眼カメラ「E-P2」を使いたい。
消音を目的として使い始めたカメラだったが、
そこに写っている写真に、私は暖かみを感じた。
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